モノとデジタルと時間を断った暮らし ~人間らしい生き方を目指して~

 断捨離を初めて一か月近くが経った。着ない洋服やキッチン周りの使わないものなど、少しずつ、でも確実に減らしてきた。そして、デスクやテーブルなどの大きな家具も断てた。部屋にあるのはベッドとソファとテレビくらいのものだ。かなり、片付いた。掃除も楽になった。食事は台所のちょっとした調理台で食べている。最初はどうなのかと思ったが、慣れるとなんてことない。むしろ、楽なくらいだ。食器を運ぶ手間が省けるのだから。食べたら、そのまま食器を洗えばよい。次に断てるものはあるだろうか。テレビだ。いきなり、テレビを断つのはハードルが高かった。とりあえず、コンセントを抜いた。見たかった番組はスマホで検索すれば出てくる。つまり、テレビは必要なかった。

 ・デジタルを断つ デジタルデトックスという概念

 デジタルデトックスとは一定期間デジタルデバイスとの距離を置くことだ。完全に断つわけではない。うまく付き合うという感じだろう。デトックスという言葉が強すぎるせいで毒や有害物を排出するようなニュアンスを感じるが、ストレスや疲労の軽減という目的からすれば、その言葉も遠からずといえる。人は24時間365日何らかのデジタルに触れて生きている。暇を持て余せばスマホを触る。中高生のスマホ使用時間に関する円グラフなど目にしたことがある読者も多いだろう。これはしばしばデジタル依存を示すデータの根拠として用いられる。依存せずには生きられない。しかし、決して依存することが悪いということではない。先ほども述べたが、うまく付き合うということが大事なのだ。たとえ、一時間でもよい。スマホの電源を切って引き出しの中に入れてみる。見ていないテレビは消す。これだけで、目や脳が疲れにくくなる。ストレスが減る。睡眠の質が上がる。心理的にもよい変化がある。ホルモン、心拍数、血圧など自然環境においては数値がよくなるという研究データがある。余談ではあるが呪術廻戦の五条悟が使用する領域展開無量空処、これは情報社会に対するストレスを風刺していると感じたのは私だけだろうか。デジタルとの付き合い方を見直してみてはどうだろうか。そして、スマホを一定時間断ってみて気づいたことがあった。

・時間を断つ タイムデトックスという概念

 タイムデトックス、この言葉が存在するかはわからない。`タイムデトックス‘で検索してみると、デトックスに適した時間という記事ばかり出てきた。なので、時間を断つという意味の造語である。スマホを断ち、時計も断つ。こうすることで今何時なのかわからなくなる。明るくなり起きた時が朝、お腹がすいた時が食事時、暗くなり眠くなった時が睡眠時。根源的で生物らしい生き方。もちろん自然環境で過ごすという点ではデジタルデトックスと同じような効果が得られると考える。これに関しては、私の感じ方であり、科学的な根拠があるわけではないのであしからず。

 モノを断ち、デジタルを断ち、時間を断ち。あと断つとすれば、お金の心配だろうか。その先には人間らしい豊かな暮らしが待っている。断つを知ることで足るを知る、そんな風に感じた。