実家暮らしは本当に独り暮らしより貯金できるのだろうか

 実家暮らしの一番のメリット、それは貯金が貯まるということである。さる記事内での調査を例にとってみる。実家暮らしと独り暮らしでの貯金額の調査。新卒1年目で約70万円、5年後で約320万円の差が出る。もちろん、実家暮らしのほうがより貯金できている。当たり前といえば当たり前だ。しかし、この調査結果はあくまで数字を定量的に積み上げただけであり、平均を均したものに依拠している。

 私は独り暮らしだが、この当たり前にはいささか懐疑的だ。いくつかの前提を変えると、この当たり前は簡単に逆転する。

前提1 家賃補助という制度

 月の出費の大部分を占めるのは家賃だ。東京でワンルームだと安くても7万円はかかってくる。地方でも5万円はすると考えてよい。初任給ベースでみると約1/3が家賃で消えてしまう。ただ、企業によっては福利厚生が充実しているところも多い。私の会社では月5,000円でワンルームを借りられる。相対的にみれば恵まれているほうだろうが、社宅や寮となると0円というケースも十分あるだろう。

前提2 家にいくら入れるのか

SUUMOジャーナルの調査によると実家暮らし社会人の約7割は家にお金を入れている。また、その平均は3万7414円だった。同質問を私の親にすると5万円入れるようにと言われた。平均額よくがっつく親であった。

二つの前提を踏まえて

 実家暮らしと独り暮らし、それぞれの月の出費を比較してみる。どちらの暮らしであっても、通信費、保険料、娯楽費には影響しないため、ここでは家賃、光熱費そして食費の3つに限って比較していく。

 私の場合先述の通り家賃は会社からの補助により5,000円。光熱費は約1万円、食費もあまり外食はしないため、1万円くらいだ。合計で2万5千円。私が実家暮らしをしていたとすると、5万円は家に入れていたので、独り暮らしをするよりも、実に2倍もかかっていたことになる。

 私のは1つのサンプルに過ぎない。前提をそのままに、家賃補助がなければ、もっと出費はかさむ。家に1円も入れずに実家暮らしをすれば給料分まるまる貯金するのも夢ではない。

 ただ、2つの前提を変えてしまえば、一人暮らしの方がコスパはいいのである。